【環境・社会】 2008年11月1日

環境・社会に取組む企業へ、活用するマネジメントシステムをめざして。

環境・社会に取組む企業へ、活用するマネジメントシステムをめざして。


プリンス電機株式会社


環境・社会へ取組む企業へのステップは、ISO9001・ISO14001・OHSAS18001を認証取得して、活用するマネジメントをめざしてきました。ここでは、弊社のISO/OHSASのマネジメントシステムの認証取得から活用をご紹介したいと思います。 1. ISO9001・ISO14001・OHSAS18001認証取得の流れ ISO14001(環境マネジメントシステム:EMS)の認証取得を優先する企業が多い中、まず、ISO9001(品質マネジメントシステム:QMS)の認証取得を2000年4月に認証取得しました。今考えれば、ISO9001の認証取得までが一番大変であったと思います。しかし、QMSを各部門で構築し、具体的に運用したことはおおいに勉強になり意義があり、その後の各マネジメントシステム認証への大きなステップになりました。続いて、社会的にも要求が多いISO14001を2002年3月に認証取得しました。EMSを中心とした方針やポリシーは後の企業活動に多くの成果を生みだしたと考えることができます。さらに、2003年10月にはOHSAS18001(労働安全衛生マネジメントシステム:OHSMS)の認証取得をしました。安全で衛生的な職場での企業活動は、従来からも労働面のみならず品質面・環境面においても重要であると考えられていましたが、QMS・EMSを進めるうちに労働安全衛生をシステムとして運用する事の必要性と重要性を改めて感じることができました*。 OHSAS18001を認証取得している企業はISO9001・ISO14001に比べて少なく、顧客満足を含むQMSを基本に、EMSでの環境配慮型製品・環境保全活動、それにOHSMSでの労働安全衛生面を考慮した業務と生産で、3つのマネジメントシステムを基軸とした企業活動を始めました。 2. 取得するマネジメントシステムから、活用するマネジメントシステムへ最初のISO9001認証取得は、当初はコンサルタントを入れて進めていたましたが、基本的には経営や部門長を中心に準備段階から認証までを、計画や実施状況を確認しながら文章や記録の作成とシステム構築を進めました。その結果として徐々にPDCAの基本が社内に構築されてきたと考えます。また、従来での品質管理は主に製品品質を意味し、業務システムも業暦で蓄積した経験等のみで成り立っている事も多かったかも知れません。しかし、ISO9001ではシステムとしての品質の意味を理解し構築する事により、社内的には事業活動の基本になるQMSが自社の財産である業暦・経験の上に構築され、さらに、そのQMSを土台にISO14001とOHSAS18001の認証取得につながったと考えます。社外的にも認証取得しているお客様や協力会社と同じベクトルを持った業務推進が広がり、顧客満足・地球(環境)満足・社員満足の方針を自ら計画・運用することにより、取得するマネジメントシステムから、活用するマネジメントシステムへと向かっていきました。 3. マネジメントシステム活用の体制作り各マネジメントシステムは、期初に社長より提示される「重点施策」を全社の方針管理として取りまとめて、各部門で部門長の部門方針と施策を中心に目標設定し、各課または個人の有する責任と権限へと展開しています。既存組織である部門での方針管理は日常業務でのPDCAにとって重要ですが、各マネジメントシステムの継続的改善を実施するためには、部門を越えた社内コミュニケーションが必要となりました。 ISO/OHSAS各マネジメントシステムの社内体制は、認証取得のプロセスで組織した幹部を中心とするISO/OHSASの各委員会の他、その後、従来から存在する「労働安全衛生委員会」の見直しに加え、「環境改善委員会」・「品質改善委員会」を社員中心としたメンバーの新組織として順次発足させました。新生「労働安全衛生委員会」では、リスクの抽出からリスクアセスメント・リスク改善・残存リスクの管理と、各部門からの委員が中心に現場でリスク低減の成果を継続的にあげています。次に環境に関する組織は、従来から「廃棄物分科会」がエネルギーと廃棄物の管理をしていましたが、企業の環境活動から社員中心の自覚を持った環境活動へ推進するために、2005年5月に「環境改善委員会」として発足させ、工場と本社の各部門から広く人選し、社内のエネルギー管理を中心に人的面と設備面で改めて環境改善を推進し、また、ISO14001でも要求されている環境コミュニケーションの一環として社内外への広報活動や環境啓蒙活動の企画実施を行なっています。続いて2005年6月に発足した「品質改善委員会」は、顧客満足度を中心とした、問題点の提示や改善を検討する等の施策が実施されています。また、現在、年1度ISO/OHSASの3つのシステム統合で実施している統合内部監査は、統合内部監査員に取締役を含む部長職、課長職、一般職から人選して、毎年、社内研修・勉強会を実施し、経営層や一部担当者だけでなく全階層での取組みをしています。各組織の編成や運営には兼務や日常業務外の仕事で苦労する事もありますが、社員各自が自らの業務や職場で、マネジメントシステムを活用した業務を進めるための意識付けとなっています。

4. 中小企業だから活かせるマネジメントシステムと効果 ISOマネジメントシステムの認証取得は、取引先からの要請等で取得を目的とする企業もあると思いますが、本来の目的は国際規格のシステムを経営に取り入れた業務を行い、社会的にも受け入れられ、環境・社会企業としての活動を形成することであると考えています。企業の規模に関係なく認証取得できるISOマネジメントシステムは、ある意味では中小規模の企業こそ、活用でき、活用の効果が出せるシステムであると考えます。それは、システム構築でマニュアルや規程・手順が必要に文章化できる事もひとつですが、PDCAの出発点である社長「重点施策」を社員の顔を見て伝達でき、目的・目標を身近なものとして会社方針から具体的な部門の方針管理へ展開することができるからです。特に重要なのは、会社が取得しているISO/OHSASのマネジメントシステムという観念から、自らが何らかの形で参加して、影響を与え、貢献する意識を社員全員が持つための教育訓練やコミュニケーションをする事であると思います。 2006年4月にはISO9001:2000年版・ISO14001:2004年版を統合審査で更新し、同年10月にはOHSAS18001も更新しました。3つのシステム全てが外部の審査を受け更新し、全社員の運用によるマネジメントシステムへと継続的に発展していると実感しました。社員は、顧客満足の品質、地球(環境)満足に貢献する活動や技術、そして安全衛生を通して社員満足を自らの業務や活動を通し、自らの手で継続的に改善できるシステムが存在している事を認識とまではいかなくとも、感じ取っていると思います。安全で衛生的な職場での安定した生産は納期や品質面にも影響を与え、環境配慮型製品の開発は顧客満足につながるなど、企業として最大限の効果を発揮するには常に3つのシステム全てが関連して、相乗効果を産みだす事を全社員に理解してもらい協力してもらう事だと考えます。 5. マネジメントシステムの取組みが創造する製品 3つのマネジメントシステムへの取組みは、製品開発や提案の上でも大きな影響を与えました。特に地球温暖化問題等の社会的背景にも後押しされ、企業のなすべき環境活動の重点施策は環境配慮型製品の開発と推進である事を改めて認識し、実現するために推進してきたのが3つのマネジメントシステムを活用した開発と提案だと思います。開発コンセプトでは、明るい照明で省エネルギー、特に管径の細い蛍光ランプが省資源・廃棄物削減に貢献できる。弊社でしかできない技術と生産体制の環境配慮型製品の開発を目指しました。また、環境配慮型製品を広い業界・分野に推進するために、様々な条件で使える製品をラインアップすることを考慮し開発が進められ、管径15.5mmの高周波点灯専用蛍光ランプを「T5スリム蛍光ランプ」として用途別に順次、開発・発売し、現在では「スリムエコ製品」としてラインアップしています。今後も、ISO/OHSASのマネジメントシステムを活用し、環境・社会にも貢献度の高い製品開発を進めてまいります。

6. 中小企業から環境・社会企業・地球企業へ ISO9001・ISO14001・OHSAS18001の認証取得から会社方針を基軸にしての環境・社会活動は、会社規模としては先進の取組みをしている企業としての各方面で評価されるようになりました。それは、プリンス電機㈱しかできない貢献ができる企業を目指しての企業活動の積み重ねであると供に、ご支持いただけるステークホルダーの皆様のお蔭と感謝しています。環境・社会企業への発展には、社内での社会的認識の向上、活動の実施も重要ですが、ISOマネジメントシステムの規格要求事項にあるコミュニケーションの発展は最も重要であると考えます。積極的なコミュニケーションでは、従来の企業活動ではできない企業の視野と貢献の場を広げると同時に、企業の方針や貢献を社会や消費者へ伝達し、ソーシャル・マーケティングを推進することができると考えています。「スリムエコ活動」での地域貢献やステークホルダーとのコミュニケーションを大切にしていきたいと考えます。社会的な評価は企業規模に関わらず、社会貢献を目指す活動をしている企業は社会企業であり、地球温暖化防止活動推進に取組む企業は地球的規模のプロジェクトに参加している地球企業になりえると考えます。今後も、皆様と共に低炭素社会の実現と持続可能な社会創りに、微力ながら貢献していく所存です。


記:企画業務部 東使

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