コラム

「継続の技術」と「開発の技術」を活かす仕組み

【企業・教育】2009年2月9日 印刷表示

「継続の技術」と「開発の技術」を活かす仕組み

  製品を製造するメーカーの皆さんが感じることだと思いますが、現場での日々の工夫と努力が、品質を維持した製品の製造を継続的に支えていると考えます。
 例えば、変えることなく伝統的な製品を作る職人は、手につけた技術でいつも同じ事をして、同じ製品を製作しているように見えますが、その回りには、材料の変化・作業環境の変化・気候の変化、また、材料費・売価等々の変化、常に変化の要素が存在しています。同じ製品を継続して作るためにも「継続の技術」を工夫し開発する必要があります。多くの企業では、企業の財産である「継続の技術」を経験から蓄積し、また、その技術は潜在的な「開発の技術」となっていきます。しかし、「開発の技術」を活かして製品開発のできる企業になるためには、確かな目的を持って、企業活動と製品開発を展開できる仕組みが必要になります。
 弊社においては「継続の技術」をより確実にし、「開発の技術」に確かな目的を持たせたのがISO/OHSASの各マネジメントシステムであると思います。ISO9001(品質マネジメントシステム)の導入はISO規格の要求するPDCA(Plan・Do・Check・Act)を確立し、ISO14001(環境マネジメントシステム)の取組みは環境配慮型製品の開発と言うコンセプトを創りだし、OHSAS18001(労働安全衛生マネジメントシステム)は社員の労働安全衛生を向上させ、安全で衛生的な職場での安定した生産は納期や品質面にも影響を与え、環境配慮型製品の開発は顧客満足につながるなど、3つのマネジメントシステム全てが関連して相乗効果を産みだしています。また、システムの構築ではマニュアルや規程・作業標準・手順の文章化も進み、会社方針の目的・目標を具体的な部門の方針管理へ展開し全社員の身近なものとして活用できる仕組みは、社会的環境変化への対応能力の向上にも貢献し、「継続の技術」を確実に蓄積して、「開発の技術」を活かす仕組みになっていると思います。
 今後も、日々の工夫を蓄積して、目的を持って新しい創造をする気持ちと、技術を活かす仕組みを考えることができる企業でありたいと考えます。

(教育の現場で人材育成ご努力されている工業高校の先生方がお読みになる雑誌として発行されている、実教出版「工業教育資料」へ執筆した一部をホームページ用にアレンジした文章です。)

2009年2月7日
企画業務部 東使弘三郎